勉強・仕事の進め方と性格
勉強や仕事が進まないのは、やる気ではなく「ペース」が合っていないせいかも。アドリブ派と譜面派の計画の立て方、締め切り前の動き方、先延ばしの理由と対策、続けるコツを紹介します。
進め方のちがいは、やる気ではなく「ペース」のちがい
「あの人はやる気があるのに、自分にはない」。勉強や仕事の場面で、そう感じたことはありませんか。実は、進め方の差の多くは、やる気の差ではなく、心地いいペースの差です。診断でいう「演奏スタイル」が、そこに関わっています。
その場のひらめきとノリで動くのが得意な「アドリブ派」と、準備と計画で着実に進める「譜面派」。どちらが上ということはなく、向いている進め方が違うだけです。自分のペースに合わない方法を無理に続けると、同じ努力でも疲れ方がまるで変わってしまいます。
「勉強法の本のとおりにやっても続かない」という人は、方法が悪いのではなく、自分のペースと噛み合っていないだけかもしれません。この記事では、アドリブ派と譜面派それぞれに合う進め方に加えて、ひとりのほうが進むか、誰かといるほうが進むかというライブ感の話も紹介します。
アドリブ派の計画の立て方|決めすぎず、最初の一歩だけ決める
アドリブ派の人にとって、一か月先までの細かい計画表は、作った時点で満足してしまいがちです。始めてみると予定どおりにいかず、「やっぱり無理だった」と投げ出したくなる。そんな経験があるなら、計画の粒度が細かすぎるのかもしれません。
おすすめは、決めるのを「最初の一歩」だけにすることです。「今日は問題集を開いて1問だけ解く」「企画書のタイトルだけ書く」。始めてしまえば、ノリが出てきて自然に続きます。アドリブ派はエンジンがかかるまでが勝負で、かかってしまえばぐんぐん進める人が多いのです。
もうひとつは、毎日の目標を「量」ではなく「状態」で決めることです。「10ページ進める」より「この章を読み終える」。ページ数は気分でぶれても、終わった章は確かな手応えになります。ゴールだけは紙に書いて目に入る場所に貼り、道筋はその日の気分で選ぶくらいが、ちょうどいい計画です。
譜面派の計画の立て方|余白と「第2案」を入れておく
譜面派の人は、計画を立てているときがいちばん落ち着きます。ただ、完璧な計画を作ることに時間を使いすぎて、肝心の本番が押してしまうこともあります。計画づくりは「30分で切り上げる」と時間を決めておくと、安心して手を動かせます。
もうひとつのコツは、予定の中に「余白」を入れることです。1日のうち2時間は何も入れない。週に1日は予備日にする。計画がきっちりしている人ほど、一か所のずれで全体が崩れたように感じてしまいます。余白があれば、ずれても「想定内」と思えます。
さらに、うまくいかなかったときの「第2案」を、先に一行だけ書いておくと心強くなります。「平日に終わらなければ、土曜の午前に回す」。この一行があるだけで、急な用事が入ってもあわてません。楽譜の中に、アドリブで遊ぶ小節をひとつ空けておくイメージです。
締め切り前の動き方|追いこみ型と前倒し型
締め切りが近づくと、アドリブ派は集中力が一気に上がることがあります。ぎりぎりのほうが頭が冴える、という人も多いでしょう。ただ、その追いこみは、途中で想定外のことが起きると取り返しがつきません。本当の締め切りの3日前に「自分だけの締め切り」を置いておくと、安全です。
譜面派は、前倒しで進められるのが強みです。反面、早く終わったものを何度も見直して、直し続けてしまうことがあります。見直しは「1回だけ、翌日に」と回数と時期を決めておくと、質を保ったまま時間も守れます。
誰かの確認を待つ仕事なら、こんな声かけが役に立ちます。「明後日の夕方までに一度見てもらえますか。難しければ、いつ頃なら大丈夫か教えてください」。期限とお願いを先に伝えれば、相手も動きやすくなります。アドリブ派は、この一言を出すのが遅れがちなので、早めを意識してみてください。
集中しやすい環境|ひとりで?誰かと?
集中のしかたには、ライブ感のちがいも出ます。スタジオ派の人は、静かな部屋でひとりになったとき、いちばん深く集中できます。通知を切って、机の上には今やることだけを置く。それだけで、同じ1時間の密度が変わります。
ステージ派の人は、まったくの無音でひとりきりだと、かえって手が止まりやすいものです。カフェのざわめき、図書館で隣に誰かがいる気配、「今から作業します」と宣言してつなぐオンラインの集まり。人の気配がある場所のほうが、すっと進みます。
おすすめは、自分用の「場所のルール」を決めることです。深く考える作業は静かな場所で、手を動かす作業は人のいる場所で。同じ人でも、作業の種類によって合う場所は変わります。「今日は進まないな」と思ったら、粘る前に、まず場所を変えてみてください。
先延ばしの理由は、タイプによってちがう
先延ばしは、怠けているから起こるのではなく、たいてい理由があります。アドリブ派の場合は、「まだ気分が乗らない」「ノリが来るまで待とう」というスイッチ待ちが多い理由です。待っているうちに時間が過ぎ、焦りでようやく動く、という流れになりやすいのです。
スイッチ待ちには、「5分だけやる」という仕掛けが効きます。5分でやめてもいい、と決めて机に向かうと、意外と続くものです。やる気は、動き出したあとから追いついてくることが少なくありません。
譜面派の先延ばしは、反対に「準備が整うまで始められない」というかたちで出ます。資料が全部そろっていない。まとまった3時間が取れない。そう感じて手がつけられなくなるのです。この場合は、完璧な条件を待たず、15分の細切れ時間に「準備の一部」だけ済ませてみてください。
先延ばしを責めても、あまり役に立ちません。「自分はスイッチ待ちタイプだ」「準備待ちタイプだ」と名前をつけて眺めるだけで、選ぶ対策がはっきりします。
続けるための仕掛け|意志ではなく、置き場所で決まる
勉強や仕事の習慣を続けるには、意志の強さより仕掛けです。アドリブ派には、ごほうびと変化が効きます。「終わったらこの飲み物」「今週は場所を変える」。飽きてきたら教材や時間帯を変えるのも、立派な作戦です。同じことを毎日くり返すより、小さな変化を混ぜるほうが続きます。
譜面派には、記録と型が効きます。カレンダーに印をつける。決まった時間、決まった席で始める。印がつながっていく様子が励みになります。ただ、一日休んだだけで「全部台無し」と感じてしまうのは落とし穴です。「2日続けて休まなければ合格」と、合格ラインをゆるめに決めておくと長続きします。
ライブ感も使えます。ステージ派は、仲間に進み具合を知らせると続きます。「今日はここまでやった」と送るだけで十分です。スタジオ派は、報告を週に一度、短くまとめて。毎日だと負担ですが、すべてをひとりで抱えると続ける理由を見失うので、軽い区切りを外に置いておきましょう。
ちがうペースの人と組むときの一言
職場や勉強会で、ペースの違う人と組むと、イライラしやすいものです。アドリブ派から見ると、譜面派は「確認が多い」。譜面派から見ると、アドリブ派は「見切り発車」。けれど、それぞれ慎重さと機動力という強みの裏返しです。
こんな言い方を試してみてください。アドリブ派から「まず形にしてみるので、途中で一度見てもらえますか」。譜面派から「ここだけは先に決めたいんだけど、ほかはお任せしていい?」。相手のペースを否定せず、自分の「ここだけは」を伝える言い方です。
明日からできることとして、自分のペースを一言で言えるようにしておくのがおすすめです。「私は最初に全体像を見たい人です」「私は動きながら考える人です」。これを共有しておくだけで、チームの中の小さな誤解がずいぶん減ります。